私たちの考えるこれからの農業

1.私たちの考えるこれからの農業

昨今、新規事業として、異業種から農業ビジネスへ参入する法人が増えています。
しかし、農業が複雑で多様な産業であることに加えて、農業そのものがこれまで閉鎖的な環境であったため、情報が乏しかったり、また地域によって対応が異なったりと事業参入には様々な苦労が伴います。その上、自社はもちろん、世の中を見渡しても、農業ビジネスを実際に経験し、さらにコンサルティングができる人材は皆無です。その結果、多くの法人が農業ビジネスは儲からないという理由で、撤退しているのも事実です。

私たちは、これまで様々な地域で、様々な形態の農業ビジネスを経験してきました。自分たちで農地を探すことからはじめ、地元の農家はじめ、農業委員会や行政と何度も折衝し、農業生産法人を設立し、様々な農業技術に投資し、栽培や加工、販売を行いました。また優良な農家や農業生産法人を訪問し、そのビジネスモデルや品質管理、運営体制を学んできました。さらに生産農業だけではなく、サービス農業(レジャー、福祉、教育など)にも携わり、新しい農業ビジネスの可能性を肌で感じています。

実際の現場を数多く経験した結果、わかったことは、

  1. 巷で言われる「農業は儲からない」というのは、業界の問題ではなく、方法論の問題である
  2. 大規模農業は非常に限られた地域にのみ成立するもので、日本国内の大半の地域では成立しない
  3. 儲けることだけを目的とした利己的な農業は継続しない

ということです。
ひとつひとつを詳しくみてみましょう。

  1. 巷で言われる「農業は儲からない」というのは、業界の問題ではなく、方法論の問題である
    「農業は儲からない」という言葉の裏には様々な背景があります。
    まず言えることは、今の世の中、どの業界を見渡しても、昔のように左うちわで儲かるような話はないということです。例えば、IT業界にしても、不動産業界にしても、時代の流れをうまく捉え、安定した経営基盤を確保している企業もあれば、不況を言い訳に倒産を待つだけの企業も少なくありません。個人をみても、かつては高額所得が約束されていた歯科医にしても弁護士にしても、今や資格を取るだけでは食べていけない現状です。
    農業も全く同じです。同じトマトを栽培している農家でも、全く利益がでていない農家もあれば、工夫と努力を重ねて十分収益をあげている企業や農家も多数あります。むしろ農業は世界的にみれば成長産業というのが常識です。
    また「農業」とは、これまで一般的には「生産農業」を指す言葉でした。つまり農産物を生産することが仕事であり、販売や加工は食品業界や小売業界の仕事であったわけです。しかし今やその垣根はなくなり、生産から加工、販売、マーケティングやブランディングまでを含めての仕事が農業であり、国も六次産業(一次産業+二次産業+三次産業=六次産業)という言葉を使い、多くの助成金を用意しています。
    さらに、「サービス農業」という新しい分野も生まれています。例えば、貸し農園や観光農園のようなレジャー型農園、農家レストランや農家民泊、農業塾、障がい者や介護施設向けリハビリサービス、園芸療法、農家婚活などです。

    今や農業はあらゆる産業とつながる可能性がある一大産業です。しかも法律面でも異業種の農業参入が年々簡単になってきています。この時代の潮流をとらえ、自社の業界との接点を見出したり、自社の強みを活かした農業が展開できる大きなチャンスです。ぜひ多くの中小企業や社会福祉法人に農業ビジネスへ参入していただきたいと思います。

  2. 大規模農業は非常に限られた地域にのみ成立するもので、日本国内の大半の地域では成立しない

    国は日本も農業を大規模化し、農産物を効率的に生産し、海外に大して競争力をつけるよう働きかけています。しかし私が様々な現場をみてきて感じることは、日本国内で海外に対抗できる大規模農業ができる地域は限られているということです。

    現在、耕作放棄地といわれる使われていない田畑が増え続けていますが、ひとつひとつは300坪(1反)程度の広さに区切られており、また持ち主も農家、非農家を含めてバラバラであるため、集約化は困難を極めています。私は高校生のときにアメリカのネブラスカ州の農家へ1年間ホームステイをしていた経験がありますが、その農家は小作農であるにも関わらず、父親一人で甲子園900個分ほどの農地を耕していました。日本では到底無理な話です。
    もしあなたがその地域に縁があり、大規模な投資をしてもよいということであれば可能性は高いと思いますが、それができる企業はいわゆる大企業であり、ほとんどの中小企業が手を出せる範囲ではありません。

    逆に私が描く未来の農業は地域密着型の「スモール農業」です。生産効率向上だけに走るのではなく、生産から販売までを垂直統合し、付加価値を高め、他にはない独自の商品を生み出すべきです。また農業は必ず地域に密着する産業であるため、地域にもメリットがあるサービス農業の要素も取り入れた柔軟な発想が必要です。地域密着型の企業にとっては、自社の価値を高めるきっかけにもなると思います。

  3. 儲けることだけを目的とした利己的な農業は継続しない

    農業は人類史上、最も古い産業であり、未だに続いている唯一無比の産業です。「食べ物を作る」という人類にとって最も大切な産業であるにも関わらず、行き過ぎた生産効率や利益追求の結果、土壌汚染や自然環境破壊、遺伝子組み換え問題、品種改良問題など様々な問題がでてきています。

    農業は絶対になくならない産業であり、なくしてはいけない産業です。もし本当に持続可能性を求めるのであれば、儲けることだけを目的とした利己的な農業ではなく、消費者や地域住民、自然環境にも配慮した利他的な農業が必要です。目指すは、三方良し(作り手良し、食べ手良し、地球良し)の農業ビジネスです。

    東日本大震災以降、消費者も以前のように安ければ買うのではなく、その農産物の安全性や環境への配慮などを考慮する人が増え、二極化してきたように感じます。またさらにTPPへの参加によって、安い農産物が外国から入ってきたときに、この現象はさらに顕著に現れることと思います。

    また現在、主流となっている化学肥料のほとんどは石油から生成されています。石油の枯渇問題や価格の高騰をうけて、化学肥料の値段も高騰しています。さらにほとんどが海外からの輸入に頼っているため、外交問題によっては輸出停止にでもなれば大事です。

    そういった時代の背景もうけてこれからの農業を考えたときに、私たち人間も自然の一部だということを認識して、自然環境に優しい利他的な農業を実践していただきたいと思います。私たちも精一杯ご支援いたします。

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